準透明少年 / ヨルシカ 1人バンドカバー 制作後記

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制作動機


6月下旬にヒャダx体育のワンルーム☆ミュージックという番組でYOASOBI Ayase氏の楽曲制作環境紹介を見た時にあまりの簡素さに驚いた。今まで理想の機材が揃わないのを自分が手を動かさない言い訳にしていた事を痛感した。

5月に新しいDAW(Studio One Professional 5)を導入したのもあり、DAWの操作に慣れるため今回は今までのように1コーラス分のギターパートのみをコピーするのではなく1曲フルでバンドカバーを制作しようと考えた。曲はこの時期に聴き漁っていたヨルシカの中から一番自分の好みだった準透明少年を選んだ。

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各パートについて

ボーカル/コーラス音源

歌声合成ソフトウェア AHS Synthesizer V Studio Basic
歌声データベース 小春六花 AI LITE版


今回の曲は女性ボーカルのため自分で歌うのは諦め、打ち込みでなるべく人らしい歌声を出せるフリーで使用可能なソフトを探した。

最初は下記動画を見てNEUTRINO AIきりたんを検討したが、NEUTRINOの編集方法やエディタがとっつき辛すぎて断念した。最近歌声データベースに追加されたNo.7(小岩井ことり氏の歌声ライブラリ)の評判が良いため、また別の機会に使ってみたいと思っている。

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代替ソフトが無いか探していた所、ニコニコで下記カバー曲が話題になっていたのを見てSynthesizerVに興味を持ち、使用感などを確認した。どうやら編集エディタも使いやすそうだったのでこちらを採用した。

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新しめのソフトのためかネット上にトラブルシューティングの情報が少なく最初に音声を出すまで少し手間取ったが、慣れたら編集しやすく快適に作業ができた。

素の歌メロのMIDIデータをそのまま入力するだけでもだいぶ綺麗に歌ってくれるが、より人らしく自然に聞こえるように発音のタイミングと長さ(特に母音)を細かく調整した。

また、1:00の誰の声~の箇所など一部で歌のピッチカーブを調整したり、パート毎に声の張り具合を変えたりしてなるべくヨルシカsuis氏の歌い方に寄せるようにした。

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SynthesizerVの編集画面。緑のバーに歌詞を入力すると歌ってくれる


ソフトがスタンドアロン起動のため、作成時はまずDAWに適当なピアノ音源で歌メロを入力後MIDIデータをエクスポートしてSynthesizerVStudioBasicにインポートし歌を編集、加工終了後にwavファイルを吐き出して再度DAWにインポートするという無駄に手間がかかる方法をとった。
製品版はDAW中に立ち上げてそのまま入力できるようなのでだいぶ作業の手間が省けそう。後日購入予定。

導入時は下記の動画が大変参考になった。

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ギター

リードギターサイドギターのどちらもMomoseのテレキャスで演奏した。ヨルシカn-buna氏のインタビューを読む限り原曲ではレスポールも使用している可能性があるため、もしレスポールを持っていたらパート毎にギターを分けて収録したかった。カポ無しのパートは黒シャツ、2カポのパートは白シャツで弾いた。

モデリングアンプはHelix LTからリードギターはマーシャル系、サイドギターフェンダー系のモデルを使用し、一部の箇所でオーバードライブをかけ録りした。

0:50~1:18と2:11~2:30のリードギターのフレーズが難しかった。毎回ギターを録音する度に思うが、自分では出来ているつもりのフレーズでもいざ録ってみるとリズムがよれて聞くに堪えない演奏だったり、全く原曲のニュアンスが出せずつまらないテイクだったりする事の繰り返しだ。もっと上手くなりたい。

 

主なギターエフェクト:DAW側で後掛け
2:54~3:12 リードギターにディレイをかけた。
原曲では恐らくこの箇所のパンを左右交互に振っていると思うが再現できなかった。
3:23~3:34 バッキングギターに軽くフェイザーをかけて少しシュワシュワさせた。
原曲でもこの箇所はフランジャー等の揺れ物のエフェクトをかけているように聞こえる。
4:10~4:16 画面右上側のリードギターにディレイをかけた。

 

ベース音源

SCARBEE RICKENBACKER BASS

Komplete 13 select付属音源。この音源はピック弾きだけなのがネックだが、制作当時の手持ちのベース音源の中で一番音が良かったので使用した。
作成途中に原曲は恐らくベースソロ以外全て指弾きで弾いているのに気づいたが、他に差し替えできるような音源も思いつかずそのまま採用となった。
音色は初期設定からほぼ弄らず、ネック側PUのプリセットを使用した。
打ち込みでスライドやグリスを表現する際に毎回入力する箇所が多すぎてめちゃくちゃめんどくさかった大変だった。
癖が強く使いどころが難しそうなのでMODO BASSに乗り換える予定。

 

ベースエフェクト:DAW側で後掛け
2:54~3:12 ベースソロ。他の部分と音色を変える為にOTTというコンプをDepth30%くらいでかけた。原曲の音色のパキパキ感をもっと再現させたかった。

hiroshi-music.com

 

ドラム音源

MT Power Drum Kit 2

フォロワーの方にお勧めしていただいたので知ったフリー使用可の音源。
スネアとバスドラの音が好みで、パワフルかつ曲に合いそうだったため使用した。
ミックス時にシンバルの鳴りをなかなか自分のイメージするように作れず、ドラムの音作りの難しさを感じた。

www.newdtm-rain.com

 

ミックス

主にiZotope Music Production Suite 4バンドル内の下記プラグインを使用
ボーカル:Nectar 3 Plus
全体のミックス:Neutron 3 Advanced
マスタリング:Ozone 9 Advanced

始めてミックス作業を行ったが数日間自分で弄っても全く上手くいかなかったため、アシスタント機能のあるiZotopeプラグインを使用してなんとか音をまとめた。
ギターはモノ入力のためかNeutron3のVISUAL MIXERでパンが振れず、DAW側のミキサーで振り直した。
音に張りが足りないと感じたパートにOzone9のVintage EQで4Kあたりを若干持ち上げたりとアシスタント後も各パートの微調整を行った。
ミックス作業時にプラグインを差しまくったせいか途中からDAWの動作がめちゃくちゃ重くなりPCのスペック不足を痛感した。

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DAWの操作画面。途中から重くなりすぎて一旦書き出さないとまともに再生できなくなった



改めて聴き直すとベースでけえなとか楽器隊の音がドライすぎるから全体に薄くリバーブをかけたらよかったとか一部パートの音量が小さすぎたとか反省点が山ほどあり恥ずかしい。ミックスは時間をとってもっと学びたい。

dtmer.info

 

動画編集ソフト

AviUtl

従来の動画編集ではスマホに元から入っているiMovieを使っていたが、もう少し手の込んだ編集作業が必要になったため他のソフトを検討。PCの内臓GPUが古すぎてDaVinci Resolveが動かなかったため、フリーソフトで有名なAviUtlを使用した。
プラグインスクリプトを追加すると色々できるようになるのと動作が軽めなのが良く、使いこなせたらだいぶ便利そうと感じた。
カット編集が若干手間なのとプラグイン追加時の挙動がたまに不安定になる事があるため、PC買い換えのタイミングで他ソフトに乗り換えたい。

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AviUtl編集画面

導入にあたっては下記サイトが参考になった。

aviutl.info

 

その他所感など


・ボーカル打ち込み、ミックス、PCでの動画編集など初めての作業が多く制作が難航したが終わってみれば楽しかったし、完成した動画を上げた際に色々反応を頂けてとても嬉しかった。もっといいものを作れるようになりたいし反省点を次回に生かしたい。
・ミックスと動画編集の作業中にPCのスペック不足を痛感したため、時間はかかるがもっとスペックの高いPCに買い換えようと思う。
・マウスでの入力作業が多すぎて右手の負担が大きく、トラックボールマウスに替えたりショートカットを覚えたりして手の負担を減らす必要があると感じた。
Twitterで動画をタグ付けして上げたのに何故かTwitterの検索から弾かれたのが悲しい。

以上です。